← ラボノート

2010年代の文化とアイデンティティ:3つの情報源群

5か国の情報源マップが、そのまま5か国の分析結果になるわけではありません。2010年代の文化とアイデンティティに関する情報源群で比較基準を満たすのは、ブラジル、米国、カナダの情報源群だけです。

選定した12件は、一つの全国的物語を示しません。参加、プラットフォーム、人種と表象、可視性を通じて文化とアイデンティティを捉えています。同時に、能力と集中、承認と評価をめぐる相違も残します。これは情報源群の比較です。全国的経験、普及率、合意、因果関係を測るものではありません。

この比較に含める範囲

2010年代の文化とアイデンティティに関する情報源群に、独立した適格な論者が3人以上、資料種別が2種類以上ある場合だけ、その情報源群を含めます。各記録には、直接URL、特定できる作成者と発行元、直接確認した情報源、位置を特定できる範囲限定の引用、明示した限界があります。

情報源群選定記録(S)独立した論者(V)資料種別(T)比較対象
ブラジル442含む
米国674含む
カナダ262含む
英国222含めない — 論者数が基準未満
日本000含めない — この範囲に記録なし

カナダを見ると、記録数と論者数を分ける必要が分かります。複数人が登場する2件の記録に、独立した適格な論者が6人います。それでも記録は2件であり、6件ではありません。

12のURLを、比較対象となる3つの情報源群に整理。S1は記録4・論者4・種別2、S2は6・7・4、S3は2・6・2。ギャップG1は論者2、G2は記録0。
S1、S2、S3は、それぞれブラジル、米国、カナダの情報源群です。Rは記録、Vは独立した論者、Tは資料種別です。G1は、英国で比較基準を満たす論者が不足していることを示します。論者2人では3人基準を満たしません。G2は、日本に比較基準を満たす記録がないことを示します。国の測定ではなく、情報源群の境界を示します。 画面が狭い場合は、必要なときだけ横にスクロールしてください。

参加はインフラから独立しない

各記録は、参加を人々が作るものとして描きます。ただし、参加はインフラの外にはありません。Henry Jenkinsは、メディアを制作し共有する能力から参加型文化を定義します [5]。Hermano Viannaは、ブラジル周縁部の音楽がインターネット以前からラジオやテレビの外で流通していたと振り返ります [3]。Marco Antônio de Almeidaは、デジタル技術を記憶と知識を再編する技術史の中に置きます [4]

制約を強調する記録もあります。Tarcízio Silvaは、水平的な交換から集中したプラットフォームへの変化を述べます [1]。Safiya Umoja Nobleは、広告エンジンが社会を理解するためのインフラになる意味を問います [6]。Aja Romanoは、ファンダムがLiveJournalからTumblrへ移ったことを、可視性、作り手への接近、消費圧力、対立の変化と結び付けます [7]

カナダの記録は、テレビと音楽産業のインフラを加えます。Radio-Canadaの報道は、ケベックのメディアで黒人のロールモデルが見えることを帰属意識と結び付けます [11]。Active Historyの対談は、Drakeのトロントでの歩みから、カナダのヒップホップ産業、多文化主義、カナダと米国の市場間移動を検討します [12]

4つのテーマコードP・PL・R・Iを、12のURLからなる3つの限定情報源群S1・S2・S3に接続。
Pは参加、PLはプラットフォーム、Rは人種と表象、Iはアイデンティティです。S1、S2、S3はブラジル、米国、カナダの情報源群に対応します。線は限定した記録内の関係を示し、国家間比較を示しません。 画面が狭い場合は、必要なときだけ横にスクロールしてください。

アイデンティティは可視性の中で交渉される

可視性は、これらの記録で一つの結果を意味しません。Heloisa Buarque de Hollandaは、リオデジャネイロの中心部と周縁部を結ぶ動きを述べます [2]。Wesley Morrisは、米国の文化評価でアイデンティティが中心化したと論じる一方、表象の社会的価値と作品の質を混同しないよう警告します [8]。Alice E. Marwickとdanah boydは、米国の13〜19歳のティーンエイジャーが観客関係、社会規範、技術機能を使い、アイデンティティとプライバシーを調整する過程を示します [10]

全国または複数州の測定データを加えるのは、米国の情報源群だけです。Pew Research Centerによれば、2019年には米国成人の10人中9人がオンラインを利用し、81%がスマートフォンを所有し、72%がソーシャルメディアを利用していました [9]。ネットワーク化されたプライバシーの研究は17州で166件のインタビューを行いましたが、質的研究なので全国普及率を推定しません [10]。この測定値によって、3情報源群の比較全体が人口調査になるわけではありません。

相違を残す

最も強い結果は収束ではありません。次の緊張関係を残すことです。

  • 参加能力 ↔ プラットフォーム集中。 Jenkinsは参加者が制作・共有できる力を重視します。SilvaとNobleは、その力を商業システムが構造化する点を重視します。
  • 可視的承認 ↔ 評価圧力。 Valérie Daureの記憶は、黒人のロールモデルが見えないことの負担を示します [11]。Morrisは、表象を批評の代わりにしないよう警告します。
  • デジタル変化 ↔ デジタル以前の連続性。 Viannaはインターネット以前の強い流通を振り返ります。Almeidaとプラットフォームを扱う資料は、無からの創出ではなく再編を述べます。
12のURLと限定情報源群S1・S2・S3にまたがる3つの緊張関係。PCとPX、VRとEP、DCとPD。
PCは参加能力とPXのプラットフォーム集中、VRは可視的承認とEPの評価圧力、DCはデジタル変化とPDのデジタル以前の連続性です。情報源群は緊張と不確実性を残します。この図は因果関係や普及率、合意を示すものではありません。 画面が狭い場合は、必要なときだけ横にスクロールしてください。

英国と日本は分析結果に含めない

英国にはこの資料群から見る2010年代の文化とアイデンティティの記録が2件、資料種別が2種類あります。しかし、独立した適格な論者は2人だけです。3人という基準を満たさないため、英国の記録は証拠の不足を説明するにとどまり、比較結果を支えません。日本にはこの範囲に該当する採用記録がありません。両国から分析上の結論は出しません。

この除外こそ、比較基準の役割です。5か国の収録範囲は索引を支えます。一方、狭く限定した情報源群が支えるのは3情報源群の比較だけです。

この比較で確立できないこと

ブラジルの記録は、リオデジャネイロや特定プラットフォームに範囲を限った解釈、意見、記憶です。米国の情報源群は測定データと解釈を混在させます。Pewは異なる調査手法をまとめ、166件のインタビュー研究は普及率を測りません。カナダの記録はケベックとトロントを中心に、一人称の記憶とイベントの説明を組み合わせます。複数人が登場する2件の記録から、地域または全国の合意は導けません。

短い引用、研究者による翻訳、自動文字起こしには、それぞれの不確実性があります。どの主張も、引用した情報源の地理、対象集団、方法、文字起こし、翻訳の範囲を超えません。

リンク付き情報源一覧

以下の12リンクが、この比較で使う完全な一覧です。分析と同じく、ブラジル、米国、カナダの順に並べています。

  1. Os algoritmos e as mídias sociais sob o viés das relações raciais | Entrevista com Tarcízio Silva — Tarcízio Silva(Itaú Cultural編集部によるインタビュー);Itaú Cultural。公開日:2019-09-25。
  2. Entrevista com Heloisa Buarque de Hollanda — Heloisa Buarque de Hollanda(Plano Estadual de Culturaチームによるインタビュー);Plano Estadual de Cultura do Rio de Janeiro。公開日:2012-05-21。
  3. Periferias - Hermano Vianna - Entrevista - Canal Futura — Hermano Vianna(Lilia Moritz Schwarczによるインタビュー);Canal Futura / Entrevista。公開日:2016-04-15。
  4. Entrevista: políticas culturais e as tecnologias de informação e comunicação — Marco Antônio de Almeida(Observatório Itaú Culturalによるインタビュー);Itaú Cultural / Observatório Itaú Cultural。公開日:2018-03-29。
  5. Henry Jenkins on Participatory Culture: Big Thinkers — Henry Jenkins;Edutopia。公開日:2013-05-07。
  6. HTNM Lecture — Safiya Umoja Noble’s “Algorithms of Oppression: How Search Engines Reinforce Racism” — Safiya Umoja Noble;Berkeley Center for New Media, University of California, Berkeley。公開日:2019-04-25。
  7. Fandom went mainstream in the 2010s — for better and worse — Aja Romano、Constance Grady、Emily VanDerWerff;Vox。公開日:2019-12-30。
  8. Is Hollywood exploiting the push to diversify criticism for marketing wins? — Radheyan SimonpillaiによるWesley Morrisへのインタビュー;NOW Magazine。公開日:2019-05-23。
  9. U.S. has changed in key ways in the past decade, from tech use to demographics — Katherine Schaeffer;Pew Research Center。公開日:2019-12-20。
  10. Networked privacy: How teenagers negotiate context in social media — Alice E. Marwick、danah boyd;SAGE Publications / New Media & Society。公開日:2014-07-21。
  11. La place des artistes noirs au Québec — Tanya Lapointeの報道、Pierre Kwenders、Valérie Daure、Normand Brathwaiteの発言;Radio-Canada Archives。初回放送:2015-02-11。YouTube公開:2025-02-01。2010年代の情報源群に含める根拠は初回放送日です。
  12. The Drake “Smoke Screen” Phenomenon: A Podcast Discussion with Dalton Higgins on Drake and Canadian Hip Hop History — Francesca D’AmicoとDalton Higginsの対談;Active History。公開日:2013-02-08。

情報源

上のリンク一覧が全件です。「この比較に含める範囲」で選定方法を、「この比較で確立できないこと」で各情報源に伴う限界を説明しています。

次の一歩

5か国の情報源マップを開き、1件の記録から原典までたどる。

あわせて読む